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【2024/11/24 08:17 】 |
寂風
去年他界した友人の墓参りに行ってきました。

彼は細面のしゅっとした文学青年でしたが、お兄さんとは合わない、と
時折零していました。

確かに、お葬式で初めてお会いしたお兄さんは、無精髭を生やしてちょっといかつい、いわゆる「輩」な感じの方でした。

四十九日が過ぎた頃。

兄上「あいつが生まれたん何年やったっけ?」
奥様「19××年です」
兄上「まじで。間違えた」

という会話があったそうです。
見ると、手首の上に19×△-……みたいなタトゥーが。

奥様は「なんのつもりや!」と聞きたかったけれどまだ聞いていない、と
仰ってました。

弟の生まれ年を彫るのも「なんのつもりや!」ですし、それを間違えるのも
「なんのつもりや!」


非常に几帳面だった弟と、正反対で全く合わなかったけれど
お兄さんなりに可愛いと思っていたのかも。
と思うとほっこりしますけれどね。


彼の書斎の本を持って行って、と言って頂きましたが
貴重過ぎて、そして書斎全体が彼の作品のような気がして、
一冊も持って来られませんでした。

高尚な本の奥の棚に、何故かしりあがり寿。
分類しかけて途中の、床積みの雑誌。
特に古い本のコーナーに、無造作に置かれた白い手袋。
綺麗な貝殻や、アンティークの器や、樹脂に虫を閉じ込めた文鎮。

何一つ、手を付ける事は出来ない。
彼の趣味が詰まったあの小宇宙に行けば、また彼に会える気がします。

幸いにも奥様は「別に邪魔ではない」と仰っていたので
また行かせて貰おう。
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【2012/06/23 20:16 】 | 未選択 | 有り難いご意見(0)
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